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体質改善の鍼灸(古典鍼灸)


鍼灸で何故体質を変えることが出来るのか。その説明の前に東洋医学について簡単に説明いたします。


東洋医学とは


2大医学として、西洋医学と東洋医学があります。
西洋医学に関しては、小さいころから体調が不良な時に内科に行ったり整形外科に行ったりと何かとなじみがあり、何となく理解があると思います。 ですが、東洋医学に関してはどうでしょうか? あまりなじみがないので理解度も少ないかと思われます。
東洋医学を一言でいうと「気の医学」 といわれております。
東洋医学の考えでは、手足が動く、内臓が働く、目が見える、耳が聞こえる、など様々な体の動きは、気の力があるからこそ行われると考えております。
病気にならない為には気が十分にある事 、滞りなく巡りが良い事 、身体に不必要な気がたまりすぎてない事 …。
身体には血液が流れる血管があるのと同じに、気が流れる経絡という物があり、そこに鍼やお灸、マッサージなど施術を行なう事で滞りがあれば流し、足りなければ補い、余分な気があれば取り除くなどをして気のバランスを整えていく健康に導く、これが東洋医学なのです。


「先天の気」「後天の気」


鍼による体質改善を説明するうえで大事な2つの項目があります。
1つ目は、先天的な体質と五臓の気。 2つ目は、後天的な体質です。
五臓とは肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓のことです。 ここで注意したいのが西洋医学的五臓と東洋医学の五臓の考えは似たところは少しありますが、違う概念であることを念頭に置いておいてください。
東洋医学において健康の定義として、この五臓がそれぞれの身体の各部位を支配し働きがあると考えてます。この五臓がバランスよく作用することで健康へと導くシステムがつくられているのですが、人間はこの五臓の内、必ず何処かが弱い状態で産まれてくると考えられており、それがどの五臓なのか。 それによってその人の体質的な弱さが決まってくるといいます。


五臓の作用と支配部位について


脾臓

東洋医学は気の医学と書きましたが、この気を作るところが脾臓です。人間は食べ物から気をいただいてます。
食べ物が消化され、気、血、津液がつくられます。 気と血は各五臓を動かすエネルギーみたいなもので、津液とは身体にある水分であり、汗や涙、関節を動かす潤滑油、肌を潤したりさまざまな作用があります。 支配部位としては消化器系の入り口である口腔であったり、胃。肢位などです。
消化器系に無理がかかると口に口内炎が出来るのは脾臓の支配部位であるところに気を付けましょうと警告のサインとして出るものです。 脾臓が弱い体質としてはいろいろな事を考えこみやすく、そうなることでおなかを壊しやすいなどの消化器系が弱い体質です。 脾臓が弱い体質の事を脾虚体質といいます。



肝臓


これは脾臓で作られた血を蓄えて、必要な分だけ各臓器にそれをいきわたらせる作用があります。 血はエネルギーである為、肝臓の働きが悪いとその作用が低下し各臓器が働きにくくなります。
支配部位としては筋肉全般や目、などです。
肝臓が弱い体質としては、赤ちゃんだと夜泣きが酷いとか、貧血、冷え性、体が疲れやすい、凝りが酷い、女性ですと月経などは血の消耗なので女性器全般の不調などです。 肝臓が弱い体質の人を肝虚体質といいます。

肺臓

肺は脾臓で作られた気や血を全身に巡らせ、身体の外から来る悪い気から守るためのバリアの役割をしております。
支配部位としては体表面にある皮膚や、身体の中の喉から肛門部までにある粘膜を支配しています。
肺が弱い体質としては皮膚、粘膜、免疫にかかわりが深いので、それらの弱さからくる症状、 アレルギー、風邪をひきやすい、アトピー、喘息など様々です。肺が弱い人はストレスコントロールがうまくできていない人が多いです。
肺臓が弱い体質の人を肺虚体質といいます。


腎臓


腎は多才な作用があり、脾臓で作られた津液を必要に応じて身体に巡らせる働きや、生殖器、泌尿器、骨、あと生命力の根源であるため腎の弱い人はいろんな体質があります。
食が細い、発育が悪い、尿意が近い、骨が弱い、浮腫みやすい、血圧が高い、耳の異常などで色々です。
生命力の根源であるため、腎がしっかりしている人は若々しく、弱い人は老けるのが早いといわれています。
腎臓が弱い体質の方を腎虚体質といいます。

心臓は今まで書いてきた五臓の働きを統括し命令を出したりする司令塔の役割をしており、東洋医学ではこの心が働かない=死を意味しているため、これが弱いために出る身体の症状はありますが、体質での心虚はないと考えております。

大まかに五臓の作用と体質を書きましたが、先天の気による体質を土台に、それぞれの五臓の弱さによる体質が加わったのがその人本来の体質となります。


後天の体質


これは自分の生活の仕方や環境により変化する体質のことです。
暴飲暴食、睡眠不足、運動不足…。そして現代はストレス社会であり、その種類も様々です。 環境ストレス、人間関係のストレス、仕事のストレスなど。 これが原因により精神的感情が生まれます。 この感情が五臓を傷つけてしまい、元々弱いところはさらに弱く、そうでないところも影響が及ぶことで新たな弱い体質が出たりもします。
これとは逆に、元々先天的に弱い体質の人が後天的によくなるパターンもあります。 例えば小さい頃から喘息体質の子が規則正しい生活や、水泳などのスポーツをすることで呼吸器系が鍛えられてよくなったりするパターンです。
後天的な体質変化は、良くも悪くも生活の仕方やストレスの状態によって変わるものなのです。


鍼灸でどうやって体質改善をするのか


まず患者さんに、覚えている範囲の中で小さいころに身体の弱かった所や現在どのような身体の不調があるのか?を問診いたします。
次に問診を聞いたことを元にここで東洋医学の最大の特徴である脈診を行います。これは手首にある橈骨動脈を触り、その人のリアルタイムの気の流れと,何処の五臓がもともと弱いのかを診断いたします。そのあとに何故そのような脈の状態になったのか? 裏づけをとるために、身体中にある気の流れる道である経絡とお腹を触診し、
・何処の経絡に気の滞りがあるのか?
・五臓の内で気が足りていない経絡は何処なのか?
・悪い気があり過ぎるのは何処か?
問診、腹診、経絡触診、脈診から判断しその人の生まれつき弱い五臓に対してそれを強化していく為のツボを選穴し、そこに鍼やお灸をして治療していきます。

本来人間にはこの五臓それぞれがお互いに調和しながら、身体のさまざまな不調に対して、それを治したり整えたりする機能があるのにも関わらず、生まれ持った五臓の弱さや後天的な生活の乱れやストレスにより、そのシステムが崩れてしまうことで今の不調をきたす体質になってしまっているのです。


古典鍼灸のメリット・デメリット


東洋医学での体質改善とは、元々や後天的に弱くなった五臓の働きを取り戻し健康に導くシステムの再構築でもあるのです。
体質改善の面白いところが、思わぬところでの身体の変化です 。
当院の一部の例ですが、肩こりの体質を改善したい人が治療をうけてから血圧が正常になったり。
癌の手術後に予後をよくするために治療を受けている患者様が浮腫みと冷え性が良くなったりとか。
様々な患者様を診ていますと主訴以外の身体の変化も耳にします。
そのたびに、人間の身体を治すための潜在能力の凄さを感じるとともにそのシステムが崩れている人の多さも感じます。



最後に大切な事で体質改善のデメリットですが、患者様それぞれですが今の体質はご自身が何十年もかけて作ってきてしまったもので、これをまた変えるのも大変です。即効性ではないのでそれを求める方には不向きな治療かもしれません。
ですが、体質改善の治療をきっかけに自分自身の悪い生活を見直す意識が高く持てる患者さんは、その分だけ結果は多く見込めます。

古典鍼灸の良いところは、体に流れている気を充実させることにより、その人が本来持っている自然治癒力を高め、病気などになりやすい身体を改善するところにあります。 今の現代では理由がわかっていても調子が悪い人もいれば、それが分からないで悪い不定愁訴の方も多いです。
そんな悩みがある方はぜひ体質改善が出来る経絡治療が良いと思われますので、ご相談の方はお声をおかけ下さい。